私は、2週間かけて、カナダ東部とメキシコを訪問した。カナダ東部とメキシコを選んだ理由は、海外生活が長い母の知人に、「同じ大陸にあっても、カナダ・アメリカ・メキシコの3カ国は、文化・経済が全く違う。それを一度肌で実感するべきだ」と言われたことがきっかけだった。
最初に訪れたカナダ東部ケベック州は旧フランス領であるため、町並み、家屋、教会などに、フランス文化が色濃く残っている。アジア諸国からの移民が多く、カナダとは思えない程アジアの文化が色濃いバンクーバーとは、全く異なる様相がとても印象的だった。ホテル、店、通りがかりの人、たくさんの人と会話をする機会があった。彼らは何のためらいもなく、フランス語も英語も流暢に使いこなしていることにとても驚いた。育ってきた環境が異なるとはいえ、同じセカンド・ランゲージであるはずの英語が、自分とは比べ物にならないほど卓越したものであることを感じ、自分の英語の能力がいかに未熟かを再度思い知らされた。 次に渡ったメキシコは、私が今まで訪れた国のなかで、最も印象が強い国と言える。今まで訪れた国との大きな違いは、人々がとても社交的であるということ。ろくに言葉がわからない私に対しても、多くの地元の人が気軽にあいさつをしてくれた。社交的過ぎて、冷や汗が出たこともあった。 海の傍を歩いていた時、パトカーがクラクションを鳴らして、私の横に車を止めた。「何も悪いことはしてないはず・・・」と一瞬どきっとしたところ、なんと窓を開けて英語で世間話をしてきた。びっくりしながらも、不安はどこかに吹き飛んでしまい、楽しく会話をさせてもらった。日本では、観光客が英語で警察官に話しかけることはあっても、警察官から観光客に英語で話しかけるということは、まず起こらないだろう。また、帰りに乗ったタクシーの運転手とは、英語を介して、スペイン語と日本語の簡単なあいさつを教え合った。日本語のあいさつを繰り返し口ずさんで懸命に覚えようとしてくれる運転手の姿を見てうれしくなった。私も、本を見て文字をたどっていた時と比べ、スペイン語が自然と頭に入るようになった。話しかけてもらえることは純粋にうれしい。地元の人と言葉を交わすことによって、その国や地域をより深く知ることができる。自分の知らない世界を一気に広げてくれる、地元の人との何気ない会話。これも、海外を旅する醍醐味の一つであると思う。
この旅を通し得たもの。新しい物事に出会い、発見した時の喜び。本や人からの話だけではつかみきれないものを、自分で足を運ぶことによって、実際に肌で感じてみることの大切さ。たくさんの思い出を作ることができた充実感。旅の途中に熱で倒れたり、飛行機が真夜中まで離陸しなかったりといったハプニングに見舞われたものの、一人で地図を片手に完璧ではない英語を用いながら海外での旅をやり遂げた、という達成感。そして、この旅の経験は私に多くの刺激を与えてくれた。 「今までの環境と全く異なった環境に身を置き、多角的な視野から日本と自分を見つめ直すことで、自分の将来を再度考え直す」。これが私のUBCに来た理由だが、今回の旅はそれをさらに促進し具体化させる、大きな力になった。
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