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乾真紀子(いぬいまきこ)1985年3月28日生19歳。立命館大学政策科学部2年生。趣味は野球観戦、ソフトボール、Webページ作り。

立命館・UBCジョイントプログラムの前半部分に当たるTerm1(9月初旬〜12 月初旬)が終了した。
毎日が忙しく、ただひたすら一つ一つ物事をこなしていただけに、その瞬間、瞬間を長く感じたことはあっても、振り返ってみると、あっという間の3ヵ月だった。ただ、その3ヵ月の間に、日本ではできない様々なことを経験させてもらった。英語での授業やルームメイトとの共同生活は言うまでもなく、親元を離れての生活が初めての私にとって、日常の買い物、自炊、掃除、洗濯といった家事も、すべてゼロからのスタートだったので、当初はなかなか要領をつかむことができず、時間のやりくりにも苦労した。日本で経験できないことといえば、先の冬休みの旅もそのうちの一つだろう。

私は、2週間かけて、カナダ東部とメキシコを訪問した。カナダ東部とメキシコを選んだ理由は、海外生活が長い母の知人に、「同じ大陸にあっても、カナダ・アメリカ・メキシコの3カ国は、文化・経済が全く違う。それを一度肌で実感するべきだ」と言われたことがきっかけだった。
島国である日本が、近隣諸国と文化や経済に違いがあるのは想像に難くないが「陸続きの国でどれだけその違いがあるのか?」。
今ひとつ実感が湧かないながらも、より広い視野から世界における日本の位置づけを再確認できる良い機会だと思い、訪問を決めた。カナダ東部はフランス語圏、メキシコはスペイン語圏であるため、完璧ではない自分の英語でどれだけ相手とやりとりすることができるか、不安を抱えての出発だった。

最初に訪れたカナダ東部ケベック州は旧フランス領であるため、町並み、家屋、教会などに、フランス文化が色濃く残っている。アジア諸国からの移民が多く、カナダとは思えない程アジアの文化が色濃いバンクーバーとは、全く異なる様相がとても印象的だった。ホテル、店、通りがかりの人、たくさんの人と会話をする機会があった。彼らは何のためらいもなく、フランス語も英語も流暢に使いこなしていることにとても驚いた。育ってきた環境が異なるとはいえ、同じセカンド・ランゲージであるはずの英語が、自分とは比べ物にならないほど卓越したものであることを感じ、自分の英語の能力がいかに未熟かを再度思い知らされた。

次に渡ったメキシコは、私が今まで訪れた国のなかで、最も印象が強い国と言える。今まで訪れた国との大きな違いは、人々がとても社交的であるということ。ろくに言葉がわからない私に対しても、多くの地元の人が気軽にあいさつをしてくれた。社交的過ぎて、冷や汗が出たこともあった。

海の傍を歩いていた時、パトカーがクラクションを鳴らして、私の横に車を止めた。「何も悪いことはしてないはず・・・」と一瞬どきっとしたところ、なんと窓を開けて英語で世間話をしてきた。びっくりしながらも、不安はどこかに吹き飛んでしまい、楽しく会話をさせてもらった。日本では、観光客が英語で警察官に話しかけることはあっても、警察官から観光客に英語で話しかけるということは、まず起こらないだろう。また、帰りに乗ったタクシーの運転手とは、英語を介して、スペイン語と日本語の簡単なあいさつを教え合った。日本語のあいさつを繰り返し口ずさんで懸命に覚えようとしてくれる運転手の姿を見てうれしくなった。私も、本を見て文字をたどっていた時と比べ、スペイン語が自然と頭に入るようになった。話しかけてもらえることは純粋にうれしい。地元の人と言葉を交わすことによって、その国や地域をより深く知ることができる。自分の知らない世界を一気に広げてくれる、地元の人との何気ない会話。これも、海外を旅する醍醐味の一つであると思う。

海外に来ると、違った視点で日本を見ることができる。そして、日本の良いところを再発見すると同時に、悪いところも見えてくる。今まで、当たり前すぎて意識すらしなかったことが、当たり前ではなくなってしまい、きちんと意識をもつようになる。例えば水一つとっても、日本では蛇口をひねれば簡単に手に入れられるが、メキシコではミネラル・ウォーターでないと水は飲めない。水の他にも、医療技術や日々の食事など、今までありがたいとすら思ったことがなかったものの重要性を改めて認識し、感謝の念をもつようになった。


この旅を通し得たもの。新しい物事に出会い、発見した時の喜び。本や人からの話だけではつかみきれないものを、自分で足を運ぶことによって、実際に肌で感じてみることの大切さ。たくさんの思い出を作ることができた充実感。旅の途中に熱で倒れたり、飛行機が真夜中まで離陸しなかったりといったハプニングに見舞われたものの、一人で地図を片手に完璧ではない英語を用いながら海外での旅をやり遂げた、という達成感。そして、この旅の経験は私に多くの刺激を与えてくれた。

「今までの環境と全く異なった環境に身を置き、多角的な視野から日本と自分を見つめ直すことで、自分の将来を再度考え直す」。これが私のUBCに来た理由だが、今回の旅はそれをさらに促進し具体化させる、大きな力になった。
Term1と冬休みで得た、わずかながらの自信を、4月末に帰国するまでに、確信へと変えられるようにしたい。